国土交通省道路局の会議を傍聴しました

2024年問題

Twitter(@TORA_doru)でお世話になっているフォロワーさんから国土交通省の会議が傍聴できるんだよ、と教えていただき先日早速傍聴させていただきました。(オンライン)

国交省の中でも「旧〇〇省」の出身とかで局が分かれていて先日拝聴した会議は旧建設省の道路局の会議だったわけですが、会議というよりは

国交省「こういうことをします!」

有識者「根拠は?なぜするの?ここはどうなってんの?」

というどちらかと言えば意見聴取会みたいな感じでした。

そしてそのやり取りの全てがめちゃくちゃ早い。

話すスピード、質疑応答。全部サクサクサクサクこなす。

そう、「こなす」んです。

そこに業界の人たちの価値観とか気持ちを汲み取る作業がないことはわかった。これは嫌味とかではなく、国の会議というものはそういうものだ、ということ。それがわかっただけでも非常に勉強になりました。

ではそこでどんな話がされていたのかまとめてみました。

めっちゃ長いです。先に謝ります。ごめんぴよ。(おい)

2つの議事~2024年問題と道路施策~

①物流2024年問題

言わずもがな、国土交通省の会議なのでここは避けて通れない議題。

いつも通り、こういう資料が出て概要をざっと説明する感じでした。

国内貨物の輸送はトンベースで9割がトラックですよ、有効求人倍率は2.0倍ですよ(少ない方が「やりたい」人が多い状態)、時間外労働規制の見直ししますよ、ということをざっと話されていました。

このブログを読んでくださっている方はきっと内容をよくご存じなのでここは割愛します。

会議での「ユウシキ者」さんたち

この会議には国土交通省の人、大学の先生、倉庫会社の社長さんが出席されていましたが国交省の人たち以外がいわゆる「有識者」さんの位置づけになります。

ここで理解しておかないといけないのですが、この会議に出ている有識者さんたちは「運送業のことは知らない」が大前提です。

この会議を聞いてわかったことは、国交省の方が発表する議事に対して意見を述べるのが「有識者」さんの役割であるということです。

こういう感じです。

なので国交省の人たちが「こういうことをしたいねん!」っていう内容に対して有識者さんたちが「それってどういうこと?それに対する課題はどうなの?」という感じで質問していきます。

つまり、会議というよりはプレゼンに近い形になります。

なので私が前にTwitterにUPした「おもってたんと違う」会議像になったんかな、と。。(下に再掲)

こんな感じで発表している人の内容を聞いて後から質問する、という形式でした。

ではそれを踏まえて、まず議事を簡単に紹介します。

②道路施策について

道路局の会議ということもありましたのでやはりメインテーマは道路についてでした。

2024年問題を解消するために道路というインフラで何ができるのか、ということをプレゼンされていました。

それでは一つずつ書いていきますね。

1)ダブル連結トラックの導入状況及び利用促進策について

国としてはドライバー不足や高齢化はトラックを大きくして解消しようと試みている模様。

ダブル連結トラックになればドライバー数が約5割削減でき、燃料消費量やCO2排出量も4割ほど削減できるという試算も出しています。

・・・

この施策に伴う道路インフラ整備も進めていくとのこと。

ダブル連結トラックが走れる区間を国としてもどんどん進めていきますよ、と進めている現状を報告しているのが上記の資料です。

ダブル連結トラックは通常の単車と違い「特車」扱いになります。そのため通行には許可手続きが必要ですしSAPAの駐車マスの確保という問題もあります。

とらこ
とらこ

特車の許可手続きとは特殊車両通行許可申請のことです。幅2.5m、長さ12m、高さ3.8m、総重量20tを超える車両を通行させる時に許可が必要になります。

通行させる前、運行中で対応すべきことがまだまだたくさんあるのが現状にはなりますがこのダブル連結トラックは最大25mのものもあるのでそう簡単には運行させられないという実態もあるんでしょうね。

2)中継輸送の拠点整備について

もう実際に運行されている会社もあるんじゃなかろうか、という「中継輸送」ですが国としてもここは後押ししたいポイントのようです。

国が想定する中継拠点整備の基準としては

  • 片道約280km地点が中継ポイント
  • 中継ポイントまでは日帰り運行が可能になるようにする
  • 中継ポイントはSAPA、道の駅、除雪ステーション、駐車帯、チェーン着脱場を検討

となっています。

3)特殊車両通行制度に関する見直し・利便性向上について

ここは1)で書いたダブル連結トラックの申請についての説明になります。

今までは「許可制」だった申請方法を国としては「確認制」に移行していきたいそうです。

何が違うかというと

許可制→都度申請

確認制→区間で申請

ということくらいですが確認制に移行したとして「使う側のメリット」がほぼ無い点が課題だということになっています。

4)自動運転について

再来年にはレベル4クラスの自動運転トラックを物流サービスにぶっこうもぜ!という国の施策とその実現に向けての提案がこの議事の内容でした。

5)新技術を活用した物流について

個人的にここはもっと話を聞きたかった部分です。

いやあ、すごい技術が世界には沢山あるんだなぁということがわかったし日本でもしっかり空間活用をしていることがわかりました。

スイスでは地下物流システムを構築し2045年までに全線開通予定だそうです。(すごい)

約500kmの地下トンネルで荷物を運ぶ構想。すごい面白いなぁ。というが正直な感想です。

しかもこれ、国じゃなくて民間企業が資金投入しているそうです。すごすぎるぞスイス。。

でも日本も全然負けてなくて、高速道路の中央分離帯の空間で土砂搬出をおこなっています。日本もすごい!

これは誰が資金を投入したんだろうか・・ちょっとまた調べてみます。

6)SA・PAの大型車駐車マスの拡充について

SA・PAの駐車マス問題は今だけじゃなくずーーーーっと前から運送業の課題だった部分。

2023年度の計画では37か所の工事で駐車マスを598枠拡大するそうです(全国規模)

うん、とても少ないです。

そしてとても残念なことですがこの議事の資料がたった2ページしかなかった。

他の議事については沢山資料があるのになぜ以前から問題視されている内容の議事についての資料がたった2ページなんでしょうか。悲しかった。

7)重要物流道路について

道路の基準を「国際海上コンテナ車対応」に引き上げるそうです。

全て背景は「トラックの大型化」を見据えていることが容易に想像がつきます。

8)広域道路ネットワークのあり方について

広域道路の見直しを20年ぶりにやりましょうという案。道路を「高規格道路」と「一般広域道路」に位置付けしてより高いサービスを提供できるように整備しますよ、ということを考えているそうです。

各議事について思う事

有識者の先生方は各議事について丁寧に質疑されていました。

特に印象的だったのがSA・PAの駐車マス問題について

2024年問題で休息時間が1割増えるのに駐車マスが足りていないと休息できないのではないか、と質問された方。

確かに2024年問題の一つ、労働時間の削減目標を達成しようとするならば休息場所が圧倒的に足りないです。

そしてもう一つ。

中継拠点の基準のあいまいさを指摘された有識者の方がいました。

中継拠点には何を設置するの?DEPOなの?ただの広場なの?

おお、そうだわ。確かにね。

SAPAや道の駅を中継ポイントとして利用する民間の運送会社からすれば国が設置する中継拠点は何が違うのかは本当にきになるところ。

国主導だからこそできる付加価値を付けていただきたいしそこで生まれる雇用があるからです。保守、メンテナンスも持続可能な雇用になりますからね。

そして神戸大学の名誉教授の先生がすごかった。

「君たち、道路の電子化なんていう簡単なこともこんなに時間がかかるの?」

ってすごいバンバン質問していく。工学部の先生みたいですが【道路の電子化】というパワーワードをその先生から教えてもらえました。なんてお得!(違うそうじゃない)

3)の特殊車両通行制度の確認制に移行させるための道路の電子化になんでこんなに時間がかかっているんだい?という質問だったのですがなるほど、道路というのは電子化に変換されて今後自動運転なり特殊車両対応されるのか、と目からうろこでした。

そして、自動運転について。

結局デバイス(自動運転車両)の性能が弱ければインフラ(道路その他)を強化しなきゃいけないのにどっちもできていないのが現状あるということが課題のようです。

2025年というと再来年であっという間です。

この1年半ほどで解決できる課題なのかどうか、私にはまだまだ理解ができませんでした。

1番の関心はSAPAの駐車マスが今後どう増えていくか

SAPAの駐車マスについて私が提案したいことが1つあります。

実証実験で構わないので「深夜割を撤廃した期間を作りその期間内のSAPAの動き」を見てほしいということ。

深夜割があるからこそSAPA上で休息をとらないければいけないドライバーさんが沢山います。

430ももちろんそうですが一番大きな原因は深夜割ではないか、と考えていてその深夜割を一時的に撤廃したらSAPAの駐車マスが現状と同じように埋まるのかを調べてほしいと思っています。

工事をして駐車マスを拡充することも大切ではありますが、深夜割とSAPAマスの関係性をもう少し深堀する必要があるのではないかと思うからです。

深夜割撤廃でSAPAの駐車マスが今よりも大幅に空けば、費用も工事よりかからないと思うんですね。

限りある財源だからこそ、大きな買い物の前に試験的でもいいので深夜割をトラックのみ撤廃してみてはいかがでしょうか。

SAPAマスの解消と深夜割の関連性が見えれば無駄な工事は不要になるかもしれません。

何事も挑戦ですので是非ご検討いただきたい。この声が届けば、ですがw

まとめ

今回も非常に長くなってしまいました。

ここまで読んでいただき本当に感謝です。いつもありがとうございます。

今回、初めて国の会議というものを聞き、私なりに本当にこの国の役人さんは賢いんだなぁということがわかりました。ですがその賢さというものは机の上だけではもったいない。

別に現場に来てくださいとは言わないです。

ですがよくご存じである運送業のメインどころ9割の中小運送会社へのヒヤリングをもう少し強化されてもいいんじゃなかろうかと思うわけです。

国、大手運送会社、そして中小零細運送会社3者がWinWinWinになれる施策になりますように。

心より応援しております。

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