運送業の未来を伝える:現場で伝えていくという挑戦

2024年問題

「僕らができることをまた教えてほしい」

「そうか。そうよな。運送業のこと、誰も教えてくれんかったからよくわかったわ」

これは私が今日お客様から直に聞いてきた言葉です。

私は今日自社のお客様に来年以降、運送業がどうなるのか、そしてその波及としてお客様に協力していただくこと、一緒にやっていかなければいけないこと、私たち運送業がやっていくことをお伝えしてきました。

現場からしか見えない「2024年問題を知らない」という現実

まず、今日私がものすごく勉強になったことは

これだけ連日メディアが報じている「2024年問題」を「お客様は2024年問題の本質を何1つ知らなかった」という現実です。

今日私が感じたことは

2024年になれば「運賃が否応なしに上がる」という恐怖心だけが先行しているということ。

2024年問題とは何を問題としているのかが不明確ということ。

運送業の仕組みをご理解できていないこと。

この3点です。

2024年問題とは何か。

そもそも2024年問題とは何か、という部分ですがシンプルにいうと

「来年4月1日からトラックドライバーの働く時間が法律によって短くなる。そのことによって今まで通りに荷物が運べなくなることによって起こるかもしれない問題への解決策が見つからない問題です。

つまり、「働き方改革」断固決行でトラックドライバーの働く時間を短くするゾ!

しまった、今まで通りの荷物量が運べなくなる(かもしれない!)

やばい!どうしよう!

よし!トラックドライバーの数を増やそう!

だめだ!なりたい人が足りない!

トラックGメン!ダブル連結トラック!政策パッケージ!高速道路の速度制限引き上げ!効率化!

これでなんとか解決できるかも!

という働き方改革をやろうとしたらモノが運べなくなるという研究所の数字が出ちゃった問題に対して手探りな解決策しか出ていないことが2024年問題です。

知らない側が悪いのか?

今日お話しさせていただいたお客様は数社でしたが、全てのお客様が2024年問題や運送業の仕組みをご理解されていませんでした。

ですが、これはお客様が悪いのかと言われれば答えは「NO」です。

説明してこなかった運送業側の責任も非常にデカい。業界のことを教えていなかった運送業側の責任はかなり大きいと思っています。

でも、私を含め運送会社は交渉が下手です。

交渉事に強い人が圧倒的に少ない。

このブログでも書いた通り、営業職がいないことも1つの原因です。

交渉を担当する営業マンがいない。

つまり、内情をお客様に伝えるという行程をほぼほぼやれていないことが現状なのです。

トラックがどのように荷物を積み、どのように収益を得ていて、ドライバーさんたちがどのように運行しているのかを把握されているお客様は本当に少ないのです。

運賃は上がるのか?に対する答え

2024年問題への解決策として「運賃を上げる」ということは1つの手段ではあります。

私は2024年問題がどうこうする前から運賃はもっともらうべきだと思っていました。

運賃が上がるのか?と不安なお客様は本当に多いと思います。

配車担当の私がそう聞かれれば答えは「現在の運賃水準はまず上げないといけないですね」です。

運賃を上げることが解決策になるわけではないのが2024年問題ですが解決するための1つの手段にはなり得ます。

どこまで上げる必要があるのかはお客様が抱える運送会社さんとの話し合いで決めていくしかありません。

働き方改革でドライバーさんの運行時間が減るから給料体系が変わる会社もあるでしょう。元々の運賃が安いからこれを機に撤退される会社もあるでしょう。運送会社によっていろんなパターンが考えられます。

運賃が数年間変わっていないお客様であればこの機会に運送会社との見直しがとても大事になります。見直しせず現状維持で進めた場合、パートナーである運送会社の体力が持たない可能性が出てきます。なのでここは膝を突き合わせてしっかり話し合いをしていくべきです。

全体の足並みを揃えなければ2024年問題は解決しない

足並みを揃えましょう!と何度も言っていますが、今日のことでもう1つわかったことがあります。

それは運送業の足並みを揃えるのと同時にお客様の足並みを揃えないといけないということです。

お客様の足並みを揃えさせるのは運送会社の仕事です。そしてトラック協会の仕事です。

これから半年、お客様としっかり向き合って話をすることがとっても大事になります。

1社の運送会社が抱えるお客様に2024年問題への対応策や自社の取り組みを共有して対応してもらったとしても、トラックにはそのお客様以外の荷物を載せることは日常茶飯事です。

別の運送会社が抱えるお客様が2024年問題?何それ?という場合。

荷台に乗せた片方のお客様の荷物がせっかく話をしてリードタイムを伸ばしてもらっていても何も知らないお客様の荷物が2024年問題への対応を全くしていない場合ドライバーさんの負担は全く変わらないのです

現場で伝えていくことの大切さ

コロナも落ち着き、ようやく顔を突き合わせて対面で会うことが気軽にできるようになってきました。

2024年まであと半年。

この半年でお客様としっかりお話をする時間を作っていくことがとても大切になると私は思っています。

運賃交渉じゃなくてもいいんです。まず現状お客様はどう思っているのか、運送会社側の実態をどれだけ把握されていらっしゃるのか、そういう現状の把握をするためにもお客様に会いにいくことはとても大切だなと思います。

自分のことを理解してもらうためには相手を理解することから始めるという言葉がありますがビジネスでも同じことだよね、と感じます。

今日、中学生の娘が友達関係に悩んで帰ってきて泣いていましたがそれも結局は自分のことばかり理解してもらいたいというわがままと友達のことを何も理解できていない無理解から生まれた悩みでした。

人間だから悩むことは大事。悩むことから考える力が出てくるよ、と伝えましたがこれはビジネスでの人間関係でも同じことが言えるよなぁと改めて思いました。

自分を知ってもらうには相手を知ることがすごく大事。相手がどう思っていてどう感じているかがわからなければ問題が何かもわからないし解決のしようもないからです。

2024年問題では運送会社の方がフューチャーされますが、荷主さんにだって抱えているお客様がいてCS(顧客満足度)を高めていかないといけない使命があります。

運賃を上げて欲しい!というこちら側だけの意見を言うだけではなくてお客様の抱えている課題や現状を把握して両者の「落とし所」を見つける作業がこれからは必要になるのではないでしょうか。

エネルギーを使うことですが、やり続ければきっと大きな変化が生まれるはず。

頑張っていきましょう!

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