【なぜ?】帰り荷運賃・地域で違う運賃の謎。

運送業

配車をしているとすごく不思議な現象に出会います。

そうです。

距離や荷物は同じなのに積む場所、運行によって運賃が変わる謎。

運送業にいたら1度は耳にするであろう「帰り荷」運賃。そして積み込みをする地域で違う運賃。

同じ荷物を運ぶにしても金額が違う、という謎によく出会います。

違う、というのは基準よりも「安い」ということです。

トラックが走るのにかかるコストは変わらないのにどうして運賃に差が出るのか。そしてこの差はなくしていきたいと思わずにはいられません。

県内でもある運賃の差

私は神戸市内の運送会社で働いていますが阪神間と姫路以西、三田以北で運賃設定が違います。

阪神間の運賃と姫路より西から積む荷物の運賃で差があります。

その運賃でトラックは出せないですとお断りしたことも何度もあります。

空車になる場所から2時間以上かけて荷物を積まないで走る(これを空回送といいます)のに、積んでおろすまでの運賃がどうして安くなるのか疑問でしかありませんでした。

格差の正体

兵庫県山間部のお客様へ運賃交渉をした時に言われたのが

「この辺の運送会社さんは農業と兼業やからねえ。運送業で稼ごうって言う気はないんだと思うよ。うちも今のままでいいし運賃が高いのはちょっとねぇ。。」ということ。

私が提示した運賃では太刀打ちできないほど安い。その運賃で本当に大丈夫なの?と心配するレベル。それでもかまわない、という運送会社さんがあるということでした。

つまり、本業が運送業ではない会社の場合、運賃収入ではない部分で収入があるから時代に合わせた運賃交渉は不要だと考えるのかもしれない。という仮説が生まれます。

そして帰り荷運賃

ここで簡単に帰り荷運賃とは何かを説明しておきます。

帰り荷運賃がいつ出来上がったのかはわかりませんが、出発地から目的地に行く運賃と目的地から出発地へ戻る運賃が違う(戻るほうが安い)、という謎のサービスです。

10年以上前から荷主さんからも「帰り運賃で行かれへん?」という話が出てくるくらい、運送業界にいつできたかわからない帰り荷運賃サービスが浸透しています。

特に関東、関西から九州へ行く運賃と九州から関東、関西に帰る運賃は大きく差が出ます。それくらい帰り荷運賃は安い場合があります。

運賃の計算はどうしているのか?

正直、私も少し前まではざっくり計算型でした。

関西ー関東までの運賃を出す時、4t車1台の基本運賃にプラスアルファするという出し方をしていました。では、その基本運賃はどう出すのか?

そのころの運賃設定は周りからの評価が基準という有様。

協力会社の配車マンから「いい運賃だね」と言われる金額をベースにしていました。

でもそれでは基準がすごく曖昧です。根拠がない。

だからちゃんとしっかり原価を出すことにしました。

2t車1台、4t車1台、10t車1台に毎日いくら必要なのかを出すことで「いくらあれば利益が出るのか」「いくら以下の運賃は受けれないか」が可視化されるようになります。

可視化することで本当に色んなことが見えてきます。原価計算はメリットばかりの運賃計算方法でした。

もちろん、作成した原価計算表を持ってお客様に交渉したこともあります。中には契約を切られたお客様もいましたが「切られたら新しく結べる」のが仕事だと思っているので継続して交渉することで台数も増え、新しい仕事も増えるようになりました。

新しいお仕事を受ける際、運賃計算をするときに本当に役立っているのが「1台あたり毎日いくら必要なのか」という原価です

めんどくさい、と思う気持ちはすごくわかります。

確かに面倒くさい。でも自社のトラックが毎日走るのにいくら必要なのかは見えている方が絶対的にいいと思います。

帰り荷運賃は何が根拠?

なので私は原価計算をすればするほど「帰り荷」運賃の根拠がわからなくなります。

なぜ同じ荷物で同じ距離を走って運賃が安くなるのか。

本当にどうしてそうなるのか仕組みが全然わからないのです。

トラックはどこに行こうがかかる原価は同じです。人件費、燃料費、高速料金は行きだろうが帰りだろうが同じ分かかるのにどうして安くするのか本当にわからない。

収入を削ってまで自社ウリをすることは私の中では戦略ではないと思っています。

一時的、突発的に売上が増えたとしても安い運賃に味をしめられてどんどん搾取されます。その結果が今です。

運賃がどんどん安くなって、積み合わせをしないと原価ギリギリ。何件も集荷、配達に行かないと利益が出ない。必然的にドライバーさんの労働時間も長くなる。1件でトラブルが発生すれば次のお客様にも迷惑がかかる。

うん、誰も幸せにならない。

戦略として失敗してるとしか思えません。今も昔も。

交渉をしていこう

原価を出して利益の残る運賃計算ができたからといってその運賃で運行できるわけではありません。

ビジネスには相手がいますからその相手との交渉が必要になってきます。

ですが、運送業はここが弱い。

営業マンがいないというお話は以前のブログで書いた通り(「運送会社には〇〇がない。」参照)なんですがどうしても交渉となると弱いのが現状です。

交渉は喧嘩ではありませんがお客様からはどうしても「悪く」見られます。

値上げをお願いする人間はお客様から見れば悪者になるため、嫌われる役回りです。ですがそういう人はビジネスをする上で必要だと私は思っています。

もちろん、誰でも人には好かれたいし嫌われたくありません。

だけど運賃交渉をするということは嫌われる勇気が必要

メンタル部分でも大きく成長できるのが交渉事だと私は思っています。

だけど、交渉は喧嘩じゃありません。

業界紙ではよく「お客様に理不尽なことをいわれた」など書かれていますが理不尽なことは言われて然りです。お客様も必死ですからどんな手を使っても値上げは回避させたい。そこは理解しながら、理不尽なことをいわれたからとそこれ諦めるのではなく、理不尽なことをいわれて当たり前。じゃその次どうするか、を考えて交渉していくことが大事だと思います。

私ももちろん色々言われます。「なんやねん」と思うことは本当に沢山ありますが言われたこと、こちらがお願いしたいことそれぞれを落としどころを付けるのも仕事だと割り切っています。

理不尽なこと言われた、だから言い返した。それでは喧嘩です。喧嘩ではなく交渉を。

冷静さを持ってこれからの交渉頑張りましょう!

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